時はプレリリース前まで遡る。

ゼンディカーのスポイラーがポツポツ出始めた頃、男4人と女1人による「次期スタン研究会」が海老亭で開催された。

そこで、あるプレイヤーが持ち込んできた、後にPWCで優勝を成し遂げる、青黒赤昇天コントロール「Thronsaal」の初期Verが披露される。

その場では圧勝という雰囲気ではなかったが(海老製作の黒単コントロールは全てのデッキに対して圧敗だったので割愛)、参加者は皆、《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension(ZEN)》のインパクトを胸に刻み、帰路に着いた。

それから2週間後のゼンディカー発売日当日。
某ショップで《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension(ZEN)》を買い占める海老の姿が!

「Thronsaal」から得たインスピレーションを海老が独自に昇華させた、UR Pyromancer Ascension「昇天 新月」の雛形が完成した。


Deck Name : UR Pyromancer Ascension「昇天 新月」ver1.0
Deck Designer : Ebie Kunisato
Design Date : 09/10/01

Mainboard/60

10《島/Island(ZEN)》
7《山/Mountain(ZEN)》
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》

4《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension(ZEN)》
4《吠えたける鉱山/Howling Mine(M10)》
4《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》
4《稲妻/Lightning Bolt(M10)》
4《思案/Ponder(M10)》
4《俗世の相談/Worldly Counsel(CON)》
4《乱動への突入/Into the Roil(ZEN)》
4《本質の散乱/Essence Scatter(M10)》
4《否認/Negate(M10)》
3《時間のねじれ/Time Warp(M10)》

sideboard/15

4《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》
4《二重否定/Double Negative(ARB)》
4《紅蓮地獄/Pyroclasm(M10)》
3《書庫の罠/Archive Trap(ZEN)》


○デッキの動き

このデッキはコントロールデッキである。
序盤は相手の動きを捌く事に全神経を集中し、《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension(ZEN)》の昇天モード解除へと向かう。
一度昇天モードに入れば全てのスペルが凶悪スペルと化す。
大量ドローを繰り返し、追加ターンを得、デッキに8枚採用されている火力にアクセスすることで、相手を焼殺する。
状況次第ではあるが場が固まってしまえば「昇天」を複数枚場に並べるのは容易なので、本体火力は2、3枚あればOKだ。

昇天モード解除に向け、デッキの中のスペルを可能な限り軽量化し、土地を限界まで絞った構成が「Thronsaal」との大きな違いである。

○採用カード解説

《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension(ZEN)》
このデッキのキーカード。
テキストが判らない人は(いまさらいないと思うけど)カードリストを良く読もう。
昇天モードの無双っぷりは一度ハマると病み付きになること間違い無し。

《吠えたける鉱山/Howling Mine(M10)》
このデッキで最も必要なカード。
追加ドローによって各種カードの2枚目へのアクセスを早める。
また《時間のねじれ/Time Warp(M10)》とのコンボは無双ターンでの焼殺率をアップさせる重要な手段。
ジェイスでは無くこちらなのは軽さを重視した結果。
2t目に貼れるかどうかで勝率がガクンと変わる程の必須パーツである。

《時間のねじれ/Time Warp(M10)》
上記2種とのコンボカード。
これをコピーした時の無双っぷりは癖になる。
Ver1.0では3枚だったが是非4枚目が欲しいカードである。

《思案/Ponder(M10)》
《俗世の相談/Worldly Counsel(CON)》

軽量サーチスペル。
これらにより序盤のアクションがスムーズになるだけでなく、昇天モード解除をも早める素晴らしいスペル群。

《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》
《稲妻/Lightning Bolt(M10)》

序盤はクリーチャー除去。
昇天モード後はフィニッシャー。
キッカーを払うとコピーもキッカーされた状態なのを覚えておこう。

《乱動への突入/Into the Roil(ZEN)》
《本質の散乱/Essence Scatter(M10)》
《否認/Negate(M10)》
《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》
《二重否定/Double Negative(ARB)》
《紅蓮地獄/Pyroclasm(M10)》

妨害手段。
これらを駆使して昇天解除を目指す。
《乱動への突入/Into the Roil(ZEN)》は貴重なキャントリップスペルであり、昇天モード中では擬似《時間のねじれ/Time Warp(M10)》として重宝する。

《書庫の罠/Archive Trap(ZEN)》
環境最初期では最も強いコントロール殺しカード。
カオス環境ではかなりの数のコントロール&パーミッションがいるため、それらをインスタントタイミングで殺せる優秀なフィニッシュ手段。
メタゲームが進めば、このスロットは他のものに置き換えられるだろう。

○デッキ相性

残念ながらこのデッキは現在トップメタのジャンドへの勝率は5割未満である。
また吸血鬼に関しては更に絶望的(昇天か鉱山が2t目に貼れてようやく五分)。
赤単やブライトニングに関しても劣勢を強いられるだろう。

しかしそれ以外のデッキには相性が良い。
何より楽しい。愛情さえあればどんな壁も乗り越えられる。以上。

○注意点

デッキを回す時の注意点を記す。

《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension(ZEN)》は必ずしも2t目に置く必要は無い。
《大渦の脈動/Maelstrom Pulse(ARB)》される危険性等を天秤に掛け、最適なタイミングでプレイしよう。

相手のマリガンに喜んではいけない。
《吠えたける鉱山/Howling Mine(M10)》を張る関係で相手の手札のロスは大きな問題にはならない。
貼らないというプレイングは土地を伸ばさなければいけない関係上滅多にないので常に気を引き締めて取り掛かること。
自分にとって一番嬉しいのは悩んで相手がマリガンしなかった時。

相手のライフを常に確認して焼殺モードに移行するタイミングを計ること。
場合によっては昇天モードなしで勝てる。
割られても絶望しないように。

○警戒すべきカード

《大渦の脈動/Maelstrom Pulse(ARB)》
《コーの奉納者/Kor Sanctifiers(ZEN)》
各種《解呪/Disenchant》スペルは要警戒。
前者は良く飛んでくるスペル。
後者は《本質の散乱/Essence Scatter(M10)》でしか防げず、面倒。

《強迫/Duress(M10)》
《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》
ハンデスは常に脅威。
特に後者はライフを持っていかれるのが余計にきつい。

《大祖始の遺産/Relic of Progenitus(ALA)》
《ジャンドの魔除け/Jund Charm(ALA)》
墓地掃除はデッキを否定されるのできちんとケアした動きを心がけよう。

《血の長の昇天/Bloodchief Ascension(ZEN)》
《テレミンの演技/Telemin Performance(CON)》
《消えないこだま/Haunting Echoes(M10)》
通したら死ぬ。
類似スペルに《書庫の罠/Archive Trap(ZEN)》があるが、こちらはまだマシ、というかコンボが加速する可能性もあるので問題ない。
《精神壊しの罠/Mindbreak Trap(ZEN)》の方がきつかったりする。
追放だし。

○デッキの改良

デッキの特徴というか、構造的にインスタントとソーサリーはなるべく3,4枚は投入したい。
またカウンターの部分は実戦では腐る事も多かったので3枚ずつに減らす事が可能だ。
空いたスロットには《時間のねじれ/Time Warp(M10)》の4枚目を入れ、後1枚は追加の火力(yasuに薦められた《苦悩火/Banefire(CON)》が有力)か速攻生物でも面白い。
もっとスペースを作りたいなら《乱動への突入/Into the Roil(ZEN)》も削れるだろう。
また、《吠えたける鉱山/Howling Mine(M10)》への依存度が高いので追加で《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(M10)》採用も視野に入れよう。

サイドボードに関しては調整不足と言わざるをえない。
《大貂皮鹿/Great Sable Stag(M10)》対策や《急転回/Swerve(ALA)》等、採用したいカードは多数あるので好みでカスタマイズしてもらいたい。

以上、駆け足になってしまったが、これで終わりにしたいと思う。
皆さん、良い昇天ライフを。

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